「職務経歴書ってどうやって書けばいいの?」
「履歴書は書けたけど、職務経歴書になると手が止まってしまう…」
転職相談を受けていると、こうした声を本当に多く聞きます。
特に初めての転職では、AIによる自動作成ツールによる職務経歴書を利用されている方が少なくありません。
正直なところ、自動作成ツールの職務経歴書で選考が進むのは「経歴が大手1社経験」「超難関資格」といったいわゆる「ピカピカの経歴」の方だけです。
別の記事で作成予定ですが、AIによる自動作成ツールによる職務経歴書の場合
でも安心してください。
書き方の基本ルールと流れを知れば、誰でも“伝わる職務経歴書”が作れます。
この記事では、採用担当者の目を引く、かつあなたの強みが伝わる職務経歴書の作成方法を解説します。
はじめに|職務経歴書は転職活動の”エントリーシート”って知ってた?

新卒の際に”エントリーシート”を提出した方も多いと思いますが、転職活動時の”エントリーシート”が、まさに職務経歴書。
職務経歴という資料からは「熱意」「志望度」「人となり」といった部分が見えてきます。そして記載されている「応募者の仕事への向き合い方」や「仕事内容」をベースに面接で合う合わないを決めているんです。
もちろん事実の羅列だけで、十分「会ってみたい」と思わせる職務経歴書もありますが、それはごく一部。
まずは「なぜ職務経歴書を書くのか」を理解して、エントリーシートで表現した自分の強みを付け加えましょう!
これまでの経験を整理し、「どんな強みを持ち、どう成果を出してきたのか」を伝えること
- 分量の目安:
20代メンバー層:A4で1〜2枚
30代管理職 :A4で3〜4枚 - 形式:
最新の経験から書く「逆年表形式」が一般的。
Wordで作成し、提出はPDFが安心
採用担当者は1枚あたり数分しか読みません。一目で“強み”が分かる書き方を意識しましょう。
ざっくり解説|職務経歴書「4つの欄(職務要約、職務経歴、保有スキル、自己PR)」へ何を書くべきか?考え方と例文

「何から書けばいいの…?」「結局“自分らしさ”ってどう伝えるの?」——そんなモヤモヤ、ありますよね。
実は、職務経歴書はおおむね 「職務要約」「職務経歴」「保有スキル」「自己PR」 の4つで構成されます。
このうち採用担当の心をつかむ“入口”と“決め手”になるのが 「職務要約」と「自己PR」。
ただし、ここを光らせるには“核となるエピソード”が必要です。
あなたの価値観や判断基準が伝わる出来事を思い出し、スキル/経歴 ⇄ 価値観 が一本の線でつながるように配置する——これが刺さる職務経歴書のコアです!
4つの欄の役割(人事目線で職務経歴書の”全体イメージ”を掴もう)

「どこまで見られているんだろう…?」そんな不安に、現場の視点で答えます。
一次スクリーニングは恐ろしく速い。
採用の現場では、見る順番と重みづけが決まっています。
私がエージェント時代に企業人事の“代行”として職務経歴書をチェックしていたとき、どの項目をどの順で、どの程度の重みづけで、何秒(何分)使っていたか——その判断の実態を具体的に共有します。
一次スクリーニングは想像以上に速く、最初の10秒で不採用が決まることもあります。
だからこそ“最初に見られる場所”を磨くのが近道です。
- 職務要約(所要目安:10秒)
「全体像」と「強みの結論」を最初の一息で提示する入口。
(仕事への向き合い方や書きぶりから、人物イメージをつかむ) - 自己PR(所要目安:10秒)
価値観 → 行動 → 成果 → 再現性で、「この人の話を聞きたい」と思わせる突破口。
(なぜ応募したのか=動機・志向の整合性を確認) - 職務経歴(所要目安:スクリーニング後5分)
要約を裏づける事実(役割・行動・成果)を時系列で検証する土台。
— 閲覧タイミング:
要約/PRで「もっと知りたい」と感じたときに深掘り確認 - 保有スキル(所要目安:3秒)
“武器の一覧”を用途×レベルで示し、発揮スキルを即時把握。
(自己PRと同時に、冒頭でスキャン)
この順番は「重要度」が高い順で並べています。
職務要約と自己PR・保有スキルを確認し、およそ30秒後には<職務経歴>を読み込むか__つまり、書類選考合否について、概ね判断は決まっているんです。
では、どうしたら人事の目に留まる「キラリ」と輝く職務経歴書が作成できるのか?
その具体的なステップについて解説していきます!
詳細解説|職務経歴書を「通過」させる近道は<5つのステップ>に沿った方法で進めること!
「自分らしさ」を職務経歴書上で表現し、採用担当者に伝わる形にするには以下のステップに沿う形で進めてみてください。
■書く順番
「保有スキル」→「職務経歴」→「職務要約」→「自己PR」
※この順番だと、思い出しやすく書き進めやすい。
書き出す際のステップは以下の通り。
- STEP1|箇条書きで端的に記載する
(「保有スキル」と「職務経歴」のみ) - STEP2|素材となるエピソードを集める
- STEP3|核となるエピソードを決める
- STEP4|各欄ごとに落とし込む
- STEP5|一貫性チェック
STEP1|箇条書きで端的に記載する(「保有スキル」と「職務経歴」のみ)

まずは、保有スキルと業務内容を端的に記載します!
保有スキルも職務経歴も、基本的には同様です。まず身につけたものを全て箇条書きで記載しましょう。
事実の羅列なのでカンタンに記載ができる部分ですが、スキルや業務内容を「身につけた背景」「身につけるまでの流れ」「活用シーン」「成果」 を思い出しておくと、職務経歴欄を記載する際の説得力がアップします。
- Excel :VBA(マクロ)
- 簿記2級
- 英語 :TOEIC 700点
こんな感じで、シンプルに書きましょう!

STEP2|素材となるエピソードを集める

箇条書きでスキルや職務経歴を書き出したら、次はそれを裏付ける「具体的なエピソード」を洗い出していきます。
ここで大事なのは、「すごい話」ではなく「リアルな事実」。
日々の業務で当たり前の仕事も、他者にとっては立派な実績になります!
エピソードで集めるポイントは「数字」「感情」「他者評価」
エピソードに説得力を持たせるには、客観的指標として「数字」をBefore/Afterで魅せることや「他者評価」をメインに記載します。
その中で「苦手だった」という場面を「人の助けを得て改善できた」という内容も触れましょう。
この書き方は「あなたのウィークポイント」が魅力に映るテクニックですよ!
だからこそ、周囲に助けを求めて業務を遂行する<協業力>が大切。
苦手を人に頼るエピソードは、<協業力>を表現するポイントになります!
【保有スキル】のエピソードの棚卸し方法!
ポイントは以下に沿って記載すること。
- 数字で成果を示せるもの(売上、件数、工数削減など)
- 工夫した点、難しかったこと、それをどう乗り越えたか
- 周囲から評価された出来事(上司やクライアントの声)
1つのスキルや業務に対して、1〜2個のエピソードがあると◎
- Excel :VBA(マクロ)なら…
月次集計の属人化解消のため独学で習得し、売上データの自動化で月10時間削減。課内の同僚や上司からも評価され、課内DX担当として任命された。 - 簿記2級なら…
日常業務で「なぜこの仕訳になるのか?」が気になり、体系的に会計を理解して、仕事の精度を上げたかったから。 - 英語 :TOEIC 700点なら…
TOEIC700点は「基礎英語力+実務で使えるレベルの入り口」とされるため、キャリアの選択肢を増やすために挑戦した。
※太字の箇所は「職務要約」や「自己PR」の素になるエピソード。
なぜ、このスキルを身につけようと思ったのかをメモ程度に記載しておき、職務経歴の説得力を増すための素材にします。
【職務経歴】のエピソードの棚卸し方法!

「職務経歴」の場合も「保有スキル」と同様のステップ!
「作業の箇条書き」→「素材になるエピソード集め」を行います。
特に職務経歴の場合には、実際に携わった業務について記載するため与えられた役割に対して自分がどう取り組み、どんな成果を出したのかを整理して書くことが大切!
企業の採用担当者が知りたいのは、あなたの「スキル」だけではありません。
課題をどう捉えて、どんな工夫をして、成果を出したのか――
そのプロセスを見ることで、「この人ならうちの会社でも活躍できそうだ」と判断します。
だからこそ、自分の仕事をエピソードとして思い出しながら書くと効果的です。
例えば「営業職」の棚卸しだと、こんな感じ。
- 既存顧客への定期訪問、商品提案
- 見積書・納品書の作成、受発注業務
- 売上・顧客管理(社内システム・Excelを使用)
そして「箇条書きの棚卸し」にエピソードを追加すると、こんな感じ。
既存顧客への定期訪問、商品提案のエピソード
ルート営業で、安定受注はしていたが、同じ商品提案では顧客の反応が薄れていた。そこで、顧客の困りごとを丁寧にヒアリングし、課題に合わせた新商品の開発を社内に提案。
自社内で解決できない提案については、信頼できる他社サービスを紹介した。
その結果、顧客からの信頼が厚くなり、既存顧客の紹介で月1件ほど新規案件を獲得できた。
見積書・納品書の作成、受発注業務のエピソード
顧客の困りごとを丁寧にヒアリングする中で、提案から納品に至るまでのプロセスで「在庫確認」「見積もり」に1〜2日のリードタイムを要しており、その間のつなぎとして他社製品を並行で発注していることがわかった。
そのため、在庫確認と見積もりのリードタイムを短くするため、独学でExcelを学び、在庫管理システムから吐き出したCSVをベースに見積もりを商談の場で出せるようにした。
その結果、顧客の意思決定が早まり、受注率15%増加につながった。
売上・顧客管理(社内システム・Excelを使用)のエピソード
在庫確認と見積もりに1〜2日のリードタイムが発生している課題について、同僚10名にヒアリングを行ったところ、全員が同様の課題を抱えていることが明らかになった。
そこで、顧客の声と自身の対応事例をもとに、上司へ現状の共有と改善提案を実施。具体的には、自ら作成したExcelツールを活用することでリードタイムが短縮され、受注率が15%向上。これにより、単月で63万円の売上増加につながった実績を示し、「ツールを課内全体に展開することで、最大で月1,134万円の売上増加が見込めるのではないか」という試算を含めた提案を行った。
この提案が採用され、課内18名の営業メンバーにツールが展開。その結果、課全体で月間1,500万円超の売上増加を実現。
こうした実績が評価され、上司から課内DX推進担当に任命された。
現在は、売上・顧客管理システムの構築を主導し、システム部門・経理部門と現場営業の橋渡し役として、営業成果向上に向けた業務改善を継続中。
エピソードでは、「役割 → 課題の見立て → 取組み → 実績」の流れで書くと、読み手に具体的なイメージが伝わります。
「職務経歴」を書くときは、まず自分の努力や実績を示すエピソードをたくさん思い出すことから始めましょう。思い出したエピソードの中から、「選考で特に見てほしい部分」を切り出して職務要約にまとめると、あなたの強みが伝わりやすくなります。
それ以外のエピソードも無駄ではありません。むしろ、「自分の仕事への取り組み方」や「課題解決への姿勢」を補強する材料として活用できます。
特に「面接でどんな実績を語りたいか?」を意識して、エピソードの“予告編”を書くつもりで整理すると、職務経歴書の評価はぐっと高まります。
STEP3|核となるエピソードを決めて「職務要約」と「自己PR」欄に記載!強みを凝縮して!

職務経歴まで記載し、エピソードをたくさん掘り起こしたところで「職務要約」に取り掛かります。
この「職務要約」が採用担当が最初に読む欄。企業分析をもとに「強み+成果+活かせる領域」をコンパクトにまとめることがポイントです。
大学卒業後、株式会社Aに入社し、法人営業職として2年間従事。
法人営業として既存顧客への提案活動に加え、課題に応じた新商品開発の提案や他社サービスとの連携提案を実施。顧客との信頼関係を深め、紹介経由での新規案件獲得にもつなげました。
また、在庫確認や見積業務のリードタイム削減に向けて独自にExcelツールを作成し、受注率15%向上・月63万円の売上増加を実現。ツールは課内18名に展開され、月間1,500万円超の売上増加にも貢献しました。
現在はDX推進担当として、営業支援システムの構築や他部門との業務連携を担っています。
こうした数値管理や仕組み化の経験を活かし、今後は経理分野に挑戦したいと考えています。
一口に転職エージェントといっても、様々なエージェントがいるのも事実。
貴重な時間を無駄にしないために、あなたの強みの発掘力が強いエージェントをおすすめします!
\書類選考通過率もUP!/
/大量の求人紹介もありません\
私は営業職として、顧客の課題を丁寧にヒアリングし、最適な解決策を提案する姿勢を大切にしてきました。顧客との接点において大切にしてきたことは、可能な限り「対応できない」と言わないということです。
その営業ポリシーから自社商品だけでなく、必要に応じて他社サービスも紹介するなど柔軟に対応した結果、顧客からの信頼を得て指名をいただく機会が増え、既存顧客からの紹介による新規案件も月1件ほど獲得できるようになりました。
営業経験を通じて培った「正確に情報を伝える力」「相手の意図をくみ取る力」「信頼関係を築く力」は、事務職においても発揮できる強みだと考えています。実際に、見積書作成や受発注管理ではミス防止のためにダブルチェックを徹底し、Excelを用いた進捗管理で業務効率化を実現しました。
さらに、数字やデータに基づいて業務改善に取り組みたいと考え、日商簿記2級を取得。現職では独学で習得したExcelVBAを活用し、売上や在庫データの集計を自動化。これにより月10時間の工数削減を実現し、営業成績向上にも貢献しました。その成果が評価され、課内のDX担当としてシステム部門や経理部門との意見交換・業務調整にも携わっています。
私は「正確性」と「サポート意識」を強みに、縁の下の力持ちとしてチーム全体の成果を支えたいと考えております。
特に「自己PR」については、自分の強みを記載するだけに「他者からの客観的なアドバイス」が必要不可欠です。
そのためには、カウンセリングスキルの高いエージェントに相談できるのが一番!
大手エージェントでは難しい「丁寧で親身なヒアリング」から見える「自分の強み」を見つけてみてくださいね!
STEP4|その他のエピソードを各欄に落とし込む
「核となるエピソード」が決まったら、その他に棚卸ししたエピソードで語れなかった部分を、実際に各項目に落とし込んでいきましょう!
▶職務経歴欄
箇条書き+エピソードの補足で構成すると、読みやすくなります。

法人営業部 営業一課(20名)にて、法人営業担当として◯年勤務。製造業の既存顧客を中心に、機械部品の提案営業を担当。担当社数は約50社。
年間売上は約5,000万円を達成。売上目標に対し130%の達成率で、営業部内でも上位の実績を残す。
- 既存顧客への定期訪問、商品提案
- 新規開拓営業(展示会・紹介経由など(平均月1件))
- 顧客ニーズのヒアリング・提案資料作成
- 見積書・納品書の作成、受発注業務
- 売上・顧客管理(社内システム・Excelを使用)
- 社内関連部署との納期・在庫調整
STEP5|一貫性チェック

最後に、全体を通して「一貫性があるか」を確認します!
職務経歴を書いていくうちに、どうしても過去の経歴に引っ張られて「転職で何を求めているか?」がブレやすくなりがち。
応募先企業が決まっている場合には、今回応募する求人票を片手に、職務経歴書を確認!
「募集ポジション」や「募集企業」に対して適切なアピールができているかをチェックします。
- 自己PRと職務要約に、共通する強み・価値観があるか
- 職務経歴と保有スキルにギャップはないか
- 応募する職種と方向性が合っているか
例えば、以下画像の「職務要約」部分。
黄色ハイライトの部分がもし記載されていなかったら、どんな募集ポジションだと思うでしょうか。

この「黄色ハイライト」が記載されていることで「経理職」として挑戦したいことが分かります。
「職務要約」で記載するのは「純粋な職務要約」ではありません。
応募ポジションに沿った形で自身がキャリア形成をしていくために「職務要約」という予告編を通してあなたは何を考え、どのような行動を取り、どのような実績を出したのか?を表現する場所です。
自己PRについても、以下の「黄色ハイライト」がなかったらどうでしょうか。
せっかく「保有スキル」で「日商簿記2級」の取得を記載しても、何を目的でどのような意識のもとに取得したのか分からず、読み飛ばされてしまう可能性が高まります。

また、自己PR末尾の「ピンクハイライト」については悪い例として記載しています。
前段の「職務要約」では「経理分野に挑戦したい」とあるのに、せっかくの自己PR末尾がこの記載では抽象的すぎて、一体今回の転職で何を求めているのかがわかりません。
求人票を確認しながら、職務経歴書を見ていくと「一貫性チェック」がはかどりますよ!
応募企業ごとに、この部分を微調整するのも効果的です!
採用担当は具体性を求めています。形容詞ではなく数字で書きましょう。
まとめ|基本を押さえれば職務経歴書は怖くない
職務経歴書は「正解の形」があるようでいて、実はあなたの経験をどう伝えるか次第です。
この順番で整理すれば、自然と「あなたらしさ」と「成果」が伝わる職務経歴書になります。
■書く順番
「保有スキル」→「職務経歴」→「職務要約」→「自己PR」
※この順番だと、思い出しやすく書き進めやすい。
書き出す際のステップは以下の通り。
- STEP1|箇条書きで端的に記載する
(「保有スキル」と「職務経歴」のみ) - STEP2|素材となるエピソードを集める
- STEP3|核となるエピソードを決める
- STEP4|各欄ごとに落とし込む
- STEP5|一貫性チェック
まずは一度、メモに書き出してみましょう。
必ず「自分でもここまでできた!」という手応えが得られるはずです。
信頼できる転職エージェントに「職務経歴書」を添削してもらうことで、文章全体の一貫性をチェックしてもらえます。
また、カウンセリング能力と書類添削能力の高いエージェントが担当なら「どんなエピソードを中心にしたらよいか?」や「応募先企業ごとにどのように書き換えたらよいか?」という疑問への具体的なアドバイスが得られるはず。
後悔しない転職活動のために、まずは基本の職務経歴書の書き方をマスターして、いろんな方から添削を受けてみてくださいね!