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未経験で経理は採用されない?書類選考が全落ちする原因は【自己PRと志望動機】にあり!採用したくなる職務経歴書について解説

元転職エージェント
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こんにちは!元転職エージェントから未経験で経理に転職をしたえみりーです。

  • 「未経験から経理に挑戦したい…」
  • 「でも、書類選考に落ちてばかり…」
  • 「やっぱり、未経験から経理転職ってできないのかな。」

一般的に、未経験から経理転職を始めた方が「結局、書類選考も通らないし転職は難しいのかも…」と、挫折してしまうケースは非常に多いです。

私は、元々転職エージェントとして法人営業に3年半従事し、経理資格も持たない全くの未経験から経理転職をすることができました。
ですが、転職エージェント時代の知識経験がなければ、無資格からの経理転職はできなかったと確信しています。

そこで、この記事では「未経験経理」への転職を志す方に向けて、正しい方向で努力すれば「書類選考通過」が得られる職務経歴書の作り方を、6つのステップでわかりやすく解説していきます!

この記事を読めば「実務未経験者が書類選考に落ちる理由」や「企業へのアピールに押さえておくべきポイント」が分かります。


未経験者は書類全落ちしやすい!理由は「実務」と「座学」のギャップに気づかない「アピール不足」が原因かも。

未経験者が選考で落ちてしまう理由の多くは、「実務の現場」と「座学」のギャップに気づけていないことです。

経理というと、「几帳面で正確」「ルーティンワーク中心」「PCに向かって淡々と仕事をこなす」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。

たしかに、経理業務は正確さや地道さが求められる仕事ではあります。

ですが、それだけでは不十分です。

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経理は、各部署との連携やコミュニケーションが極めて重要なポジションなんです!


例えば、売上情報、経費処理、請求内容など、必要な情報を他部署から集める場面は日常的にあります。
その際、ただ待っていても必要な情報が揃うとは限りません。

自分から確認し、催促し、ときには交渉することも求められます。

特に、将来的にマネジメント候補となる若手人材にとって、経理は単なる裏方業務ではありません。
ゆくゆくは「経営幹部」や「株主」など、会社の意思決定に関わる重要なステークホルダーに対して、説明責任を果たすポジションになります。
そのためには、数値の正確さだけでなく、相手の立場を踏まえた「説明能力」や「巻き込み力」が求められます。

このような <実務上のやり取り> を理解しないまま

  • 「簿記を勉強しました」
  • 「几帳面なので向いています」

という点だけアピールしても、企業側は採用の決め手に欠けてしまいます。

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難関資格を取得しても、選考通過しないのにも同じ理由が隠されています…

ところが、多くの未経験者はこの点に気づいておらず、経理職として必要な「ウラの能力」つまり「説明能力」や「巻き込み力」を自分の強みとしてアピールすることができていません。

逆に言えば、このギャップを理解したうえで志望動機を作れる人は、他の応募者と差をつけられるのです。

まず前提として、未経験から経理職に挑戦するに当たり志望動機を作るうえで重要なことを押さえてください。
ポイントは、以下の5つの視点です。

これらを意識しながら「志望動機」を作ることで、未経験であっても採用担当者に伝わる志望動機を作ることができます。

【未経験経理】志望動機に必要な5つの視点
  • なぜ、未経験から経理に挑戦しようと考えたのか?
  • 経理の実務をどのように理解しているか
  • 経理の仕事を継続できそうか?(適性や覚悟はあるか?)
  • なぜ他社ではなく、当社を選んだのか?
  • 志望動機の中に、経理職に必要な素養が感じられるか

今回の記事では、

じゃあ、具体的にどう書いたらいいの?

という方に向けて、3STEPでアピールを強める志望動機(自己PR)の書き方と、応募企業に刺さる志望動機を作成するための棚卸し3STEPを作成しました!

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自己PRがバッチリ!の方は、ボタンから飛んでみてね!

応募先企業に刺さる!志望動機3STEP

アピールを強める志望動機の書き方|3STEP

ここからは、未経験者でも評価される志望動機を作成するために、どのようにアピールすればよいかを解説します。

紹介する各質問に対して「先程の志望動機に必要な5つの視点」を交えながら回答してみてください。
良い例と、悪い例の具体例とそれぞれの理由についても記載したので、内容を照らし合わせながら自分なりの志望動機を作成してみてくださいね。

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この記事も参考にしてね!

職務経歴書の攻略法|企業ごとに「書き分ける」がキホン。書き方を徹底解説! こんにちは、元転職エージェントで現役経理のえみりーです!転職活動の中でよく聞くお悩みのひとつ。「同じ職務経歴書なのに、ある企業では面接...

STEP1:経理に興味を持った「きっかけ」は何か?

まずは、あなたがなぜ経理という職種に興味を持ったのかを明確にしましょう。「きっかけ」の部分で十分ですが、これは志望動機の「核」になる部分です。

たとえば「前職で請求書処理に関わったとき、会社のお金の流れに興味が湧いた」など、自分自身の体験をもとに語れると説得力が生まれます。

  • 前職で売上管理や請求処理に関わり、数字を扱う面白さに気づいた
  • 家計管理を通じて、数字で物事を管理する力に興味を持った
  • 簿記の勉強を始めて、企業活動の裏側を知ることが楽しいと感じた
  • 経理担当者とやり取りする中で、業務内容や専門性に魅力を感じた
  • 数字で物事を客観的に捉える力が身につくと感じた
  • 予実管理に関心があり、計画と実績の差を分析することが好きだった

特に、未経験で有資格者(税理士・公認会計士など)の方は、なぜ「企業内で経理として働くのか?」について触れるようにしてください。

  • 会計の知識を経営判断に活かす現場に身を置きたいと思った
  • 数字を作る立場として、事業の成長に直接関わる仕事をしたいと考えた
  • 担当企業を外から見る立場ではなく、内部に入り込んで課題解決したいと感じた

こういった「自分の実体験に基づく前向きなきっかけ」は、十分に経理業務として働く理由づけになります。
ただし、あくまでも上記は一般的な例でしかありません。
自分で行動して、何を考えたのか?という事実に基づいて記載してくださいね。

また志望動機として「良くない例」についても記載しておきます。

  • 安定していそうだから
  • 事務職だから
  • PC作業なら自分にもできそうだと感じた
  • 忙しすぎたので、もう少し落ち着いた環境で働きたいと思った
  • 数字が嫌いではないから
  • 在宅勤務ができるから
  • 知人が経理をしていて、なんとなく興味を持った
  • 勉強はしていないが興味がある気がした
  • クライアントワークに疲れたから内勤に転向したかった
  • 転職エージェントに勧められたから
  • 将来的に独立できそうだから

この内容では、自分自身の都合ばかりが前面に出ており、「企業側にどうアピールするか」という視点が欠けてしまっています。
転職には、ネガティブな理由があるのは当然のことですが、職務経歴書や面接はあくまでも「自分の価値を伝える場」であり、不満や事情をそのまま表現する場所ではありません。

ネガティブな要素を職務経歴書上で出してしまうと、面接官からは以下の懸念を抱かれてしまう可能性があります。

  • 「メタ認知ができていない=業務でも客観的視点に欠けているのでは?」
  • 「選考という場の意味を理解していないのでは?」
  • 「弊社に入社しても、結局同じなのでは?」

面接官は、転職理由そのものよりも、その人が“どう物事を捉えているか”を見ています。

だからこそ、ネガティブな背景があったとしても、それを前向きな動機に言い換え、企業にどう貢献できるか
という視点に変換することが大切です。

STEP2:簿記を学んで「楽しい」と感じたポイントは?

次に、勉強を始めてから感じた“やりがい”や“楽しさ”を振り返ってみましょう。

「取引の背景を知ることで業務の流れが見えるようになった」など、感情が動いたポイントがあれば、それを文章に入れることで読み手に熱意が伝わります。

  • 数字の流れを追う中で、企業活動の裏側を知れることに興味を持ちました
  • ルールに基づいて処理を積み上げていくことが自分の性格に合っていると実感しました
  • 損益や財務状況が数値として「見える化」される仕組みに魅力を感じました
  • 簿記を通じて、会社のお金の流れを客観的に理解できる力がついてきたと感じています
  • 数字だけでなく「背景となる取引内容」を理解する力が身につく過程が面白く感じられました

良い例の共通点は、以下の3つです。

  • 座学だけではない実務や仕事との接点を意識している
  • 自己理解や成長への気づきがある
  • 経理職へ転職するための具体的な行動・感情・成果が伴っている

特に、「仕訳」と企業の日々の「取引」は密接に結びついており、会計上のルールに則って処理することが求められます。

そして「取引」が発生するのは「現場」

だからこそ「取引」「現場」への興味やリスペクトを持ちながら、経理の実務を滞りないように回していく…ここに醍醐味があり、経理の難しさがあると感じています。

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いざ経理として働くと「こんなに大変だったんだ!」と驚くポイントはここ!

実際の「経理職」実務、大変度はざっくりこんなイメージ(筆者談)

現場や関係部署に粘り強く話をする>>>>>>>
日々の現場からの締め相談 >決算の締め処理

+α 会計基準の改正やルール変更へのキャッチアップ

ちょっと分かりづらいと思うので、具体例を書いておきますね。

経理は会計基準の改正や複雑なルール変更もあるため、常に情報をキャッチアップし続ける姿勢が必要ですよね。
そして、大きなルール変更が行われた際には現場の社員からの反発や疑問が殺到するため、分かりやすく説明することはもちろん、粘り強く話をしつづけ現場に理解してもらいながら業務に落とし込んでもらう…。

そうした日々の細かい折衝や調整が前提にあって、部門から上がってきた取引内容を仕訳に反映させ、それが正しい処理であるかを確認しつつ、必要に応じて外部の専門家の意見を仰ぎながらルールに沿った締め処理を行う──。


上記は一例ですが、私自身が経理職として働くうえで感じた経理のギャップは
現場とコミュニケーションを図ることの重要性です。

現場の社員にとっては、基本的に「経理」は裏方仕事。
売上の数字を取ってきているのは現場なのに「なぜ面倒な経理マターの処理を、現場側でやらなければいけないのか?」と感じていることが一般的です。

ですが「経理」でも取引の実態がわからないことには、締め処理もできない。
だからこそ現場に向けて取引の詳細をヒアリングし、実態を確認する。というプロセスが必要なんです。ここが経理の実務における重要な役割だと感じています。

だからこそ、単に知識があるだけではなく、「事業」や「経営」への興味関心(理解)に加え、それを現場で支える各部門の人々への敬意と関心を持ち、会計の専門性を活かして事業の成長に貢献したいという意欲が、経理採用においては大きな評価ポイントになります。

  • 数字を扱う仕事は なんとなく安定していそう だと思い、興味を持った
  • コツコツ作業をするのは 嫌いではない ので、経理に合うかもしれないと感じた
  • 会社のお金の流れについては 詳しくは分からない
  • 簿記を勉強すれば 何となくイメージがつかめそう だと思った
  • 取引の背景や仕組みは 難しそう だが、働きながら覚えていければいいと思う
観点良い例悪い例なぜ良い/悪いのか
数字への興味数字の流れを追う中で、企業活動の裏側を知れることに興味を持った数字を扱う仕事は なんとなく安定していそうだと思った良い例は「企業活動の裏側」と具体的に結びついている。悪い例は「安定していそう」と根拠が弱く、自分の都合目線。
性格との相性ルールに基づいて処理を積み上げるのが自分の性格に合っていると実感コツコツ作業は 嫌いではないので、合うかもしれない と感じた良い例は「実感」と確信を持って述べている。悪い例は曖昧で自信がなく、説得力に欠ける。
魅力の理解損益や財務状況が「見える化」される仕組みに魅力を感じた会社のお金の流れは 詳しくは分からない良い例は経理の本質的な価値を理解している。悪い例は「分からない」と知識不足を露呈してしまっている。
学びの成果簿記を通じて会社のお金の流れを客観的に理解できる力がついた簿記を勉強すれば なんとなくイメージがつかめそう良い例は学びを成果として表現している。悪い例は未来形+曖昧で、まだ力がついていない印象。
成長の実感数字だけでなく「背景となる取引内容」を理解する過程が面白いと感じた取引の背景や仕組みは 難しそうだが、働きながら覚えればいい良い例は「面白さ」に言及し前向き。悪い例は「難しそう」とネガティブで受け身。

STEP3:「経理に向いている」と思える自分の強みは?

最後に、自分自身のどんな強みが経理の仕事にマッチしているかを言語化しましょう。

ここは志望動機というよりも「自己PR」に近い部分かも知れませんが、基本的に「志望動機」と「自己PR」はシームレスに繋がっているものです。

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自分の「得意」が経理職のどんなところに接続すると考えるのか?をアピールして!


「物事を正確に進めるのが得意」「データの分析が素早く行える」ことは経理として必須のアピールポイントになります。

ですが、このデータ分析は実務経験者の方にどうしても軍配が上がりがち。

だから、未経験者においては周囲との調整や確認を丁寧に行える」「意見が分かれる中で粘り強く両者の調整を行って、達成した経験」など、ネゴシエーション能力が試されるような具体的なエピソードとセットで伝えると効果的です。

例えばこんなエピソード。
「未経験から経理職になるにあたって、現職の経理担当者に必要な能力について確認してみたところスタッフからはXX、主任からは△△、課長からは〇〇と様々な話を伺う機会があった。その中で、〇〇という特性は自身の適性と合致するイメージをもった」

このエピソードからは「行動力」や、現場の意見を確認するという「コミュニケーション力」が評価されます。

「未経験だからこそ、自分の中にある“適性”を掘り下げて伝える」ことが重要です。

具体性があり、経理職に必要なスキルと接続できている

  • 物事を正確に処理する力が評価され、前職ではダブルチェック担当として月次報告書の最終確認を任されていた
  • 売上データや業績推移を分析する中で、改善点を見つけるのが得意で、月次レポート作成に貢献した
  • 営業と開発の板挟みになる中で、両者の要望を整理し調整案を提示し、納期を守ってプロジェクトを完了させた経験がある
  • 未経験から経理職を目指すにあたり、実際に現職の経理担当にヒアリングし、必要な能力を洗い出した上で、自身の特性との一致点を分析した
  • 顧客の要望を誤解なく伝える力を評価され、他部門との調整役を任されていた
  • データ整備の業務で、エラーが起きにくい入力ルールを設計し、チーム全体の業務効率化に貢献した
  • 他人のミスを責めるよりも、仕組みで解決する思考があり、ミス再発防止策の提案に取り組んできた
  • 手順書やマニュアルを自ら整備するなど、構造化・標準化の意識が強い

自己評価のみで「経理業務に対する客観的な素養」が見えにくい

  • 几帳面な性格なので経理に向いていると思う
  • 数字は嫌いじゃないので大丈夫だと思います
  • コミュニケーションには自信があります!(具体的な根拠なし)
  • 経理はコツコツできる仕事だと思ったので合っていると思います
  • 前職では仕事が忙しかったですが頑張りました(強みが不明)
  • 細かい作業が得意な方です(何に対して? どのように?が曖昧)
  • 周囲の人からは「しっかりしてる」と言われることが多いです
  • 正確さが求められる仕事には向いている気がします(根拠が弱い)

志望動機に「なぜ御社なのか?」を加える|3STEP

ここまでで「なぜ経理職を希望するのか」という志望動機の軸を固めました。
次のステップは、「なぜ御社を志望するのか」を具体的に伝える段階です。

経理職を志望する理由だけでは、応募先に対する熱意や適性は伝わりきりません。企業側が知りたいのは「なぜ多くの会社の中から、わが社を選んだのか」という点です。ここが書けて初めて、志望動機に説得力が生まれます。

例えば「御社の事業領域やビジョンに共感した」「これまで培ったスキルを御社の成長分野で活かせる」といったように、応募先ならではの要素を盛り込むことが大切です。単なる業務内容への興味関心ではなく、「御社だからこそ自分は力を発揮できる」と示すことで、他社との差別化ができます。

したがって、次に取り組むべきは「なぜ御社なのか」を明確にし、志望動機に一貫性と説得力をもたせることです。ここを押さえることで、採用担当者に強く印象づける応募書類となります。

以下の3つのステップに沿って、「御社だから」という志望動機を作成していきましょう。

STEP1:数ある企業の中で「御社に興味を持った」きっかけは?

自己PRで「経理職への適性がありそう」と認められたら次のステップ。
面接官は、「この人はなぜ、数ある企業の中からうちを選んだのか?」という納得感を求めています。

そのためには、企業研究を通じて「どこに惹かれたのか」「何に共感したのか」を自分の言葉で具体的に語れるようにしておく必要があります。

たとえば、求人票に記載されている仕事内容や組織体制に惹かれたのかもしれません。
あるいは、企業理念やビジョンに共感した、社員インタビューを読んで働く人の価値観に魅力を感じた、という理由もあるでしょう。

こうした「他社にはない特徴」や「自分との共通点」を発見し、それを志望動機に反映させることが、説得力のある応募につながります。
「なぜその企業なのか」を語れるようにすることが、選考通過のカギになります。

志望動機の良い例(企業研究を踏まえた内容)

御社の企業理念に掲げられている「挑戦を歓迎する風土」に強く共感いたしました。少数精鋭で幅広い業務を担える点や、社員インタビューから伝わってきた裁量の大きさに、自己成長できる環境だと感じております。

また、業界内で独自のポジションを築かれていること、決算説明資料から読み取れる明確な成長戦略に将来性を感じました。さらに、顧客との関係性を重視する文化や、社内報・SNSから伺える風通しの良さは、私自身の価値観とも一致しております。

求人票に記載された具体的な業務内容からは、自分の経験を活かしながら貢献できるイメージを持つことができました。組織が拡大フェーズにある今こそ、役割を広げつつ成長していけると確信しています。面談で社員の方々から伺った「人を大切にする姿勢」にも惹かれ、ぜひ御社の一員として力を尽くしたいと考えております。

志望動機の悪い例(企業研究が浅い・伝わらない)

御社は大手で安定している会社だと聞いたので安心して働けると思い、応募いたしました。少数精鋭と書かれていましたが、前職も少人数でボリュームの多い業務を回していたため、おそらく自分にも合うのではないかと感じています。

SNSやホームページを見たところ社員さんの雰囲気も良さそうで、自分の性格にも合っていそうです。仕事内容についても簿記2級を取得していることから、おそらく自分にできそうだと思い、給与や福利厚生も良いと感じたので志望しました。長く安定して働けることを期待しています。

観点良い例悪い例
企業理解企業理念「挑戦を歓迎する風土」、決算説明資料、社員インタビュー、社内報やSNSなど 複数の情報源を分析 して具体的に記載「大手で安定している」「SNSやホームページで雰囲気が良さそう」と 表面的な理解にとどまる
自己PRの根拠「大量データを正確・効率的に処理」など、過去の実績や強みを 具体的に提示「前職も少人数で業務を回していた」「簿記2級があるのでできそう」など、 根拠が弱く自信も曖昧
応募理由の軸「風土への共感」「顧客重視の文化」「成長戦略への共鳴」など 企業側に焦点を当てている「安定して働ける」「給与や福利厚生が良い」など 自己都合が中心
将来性への視点「組織拡大フェーズで役割を広げたい」など 未来に向けた貢献イメージを提示「長く安定して働けることを期待」など 安定志向のみ
表現力・説得力「積極的にキャッチアップ」「役割を広げつつ貢献」と能動的で前向き「おそらく合う」「できそう」と 曖昧で受け身の印象

STEP2:同業他社との比較で見えた「違い」は?

同じ業界には多くの企業が存在します。
その中で、「なぜこの会社なのか?」という問いに明確に答えられるかどうかは、志望動機の説得力を大きく左右します。

企業側から見ると、「業界全体に興味がある人」よりも、「自社の特徴や強みに共感して応募してきた人」の方が、入社後のミスマッチが少なく、定着・活躍してくれる可能性が高いと感じられます。

たとえば、事業の方向性・扱っているサービスの独自性・社風・働き方・社員の考え方など、他社と比較して「ここに惹かれた」と言えるポイントがあると、面接官にも伝わりやすくなります。「この会社を選んだ理由を、自分なりの視点で言語化できる」ことが、企業からの評価を上げる重要な要素になるのです。

●●社は〇〇業界においてニッチトップ戦略を展開し、安定した経営基盤を築かれている一方で、近年は工場の新設や新製品のリリースなど、積極的な事業展開にも取り組まれています。
こうした成長戦略の中で、経営判断の精度を高めるために管理会計領域にも注力されている印象を持ちました。

また、経理部門については少数精鋭体制で運営されており、個々の担当者が幅広い業務に携わる環境が整っていることから、日々の業務を通じて多様な経験を積める土壌があると感じています。

私自身、前職では過去に前例のない〇〇プロジェクトのリーダー補佐として、チームのスピード感を意識しながら業務を推進してきた経験があります。
その中では、自分が担うデータ分析のタスクを効率よく処理することに加え、チーム全体の負荷を見ながら全体タスクの調整や、メンバー間のコミュニケーション促進など、リーダーが意思決定しやすい環境づくりに努めていました。

こうした経験から、まずは短期的な実務へのキャッチアップを図りながら、効率性を重視して貢献したいと考えています。
そのうえで、将来的には会計のさまざまな分野への理解を深め、専門性を高めていきたいと考え、貴社を志望いたしました。

ここでの評価ポイントは以下の3つ

  • 事業展開・経営判断の特性を仮説立てて考える能力がある
    また、自身が携わった業務との共通点が語れている
  • 前例のないプロジェクトでも「自分が担うタスクを効率よく処理した」という実績
  • また、チームワークを発揮した業務遂行能力があること

もちろん、この回答から面接官からはさらにツッコミがあるはず。
その質問に対して「なぜ、それが可能となったのか?」という理由を相手が納得できるように回答ができればOK!

一方、悪い例はこんなイメージ。

「御社の経理部門は少数精鋭ですがチームワークを重視した働き方をされている点で、働きやすそうな印象があり、未経験でも安心して始められると思い志望しました。
前職ではエクセルで数値を扱う業務もあったので、経理にも活かせるのではと考えています。
まずは基本的なことから教えていただきながら、徐々に慣れていければと思います。」

これでは「教えてもらいたい」という気持ちが全面に出てしまっていて「少数精鋭」だからこそ必要とされるチームワークに対して「自分が貢献できること」が一切語られていません。
こういった内容では「うちでのスピード感について行けそうにないかもな…」と判断されてしまい、書類選考通過は厳しいです。

上記は、中小企業の例として記載しましたが大企業の場合だとこんなイメージ。
(事業戦略の部分については「企業分析」の記事で記載しているので割愛します)

御社の経理部門は、業務が専門性に応じて高度に分担されており、各領域で精度の高い処理や論点に対する深い理解が求められていると感じております。

私はこれまでの業務を通じて、大量のデータを正確かつ効率的に処理し、抜け漏れのない成果物を安定して提供してまいりました。こうした経験から、業務の正確性とスピードを両立する力には自信を持っております。

そのため、たとえ未経験の領域であっても、専門性の高い環境において積極的にキャッチアップし、早期に戦力として貢献できると考えております。

「御社は安定していると聞いており、自分にとって安心して働ける環境だと思い応募しました。
また、経理としていろいろな仕事に関われそうな点も魅力的でした。未経験ではありますが、経理はコツコツと取り組む仕事だと思うので、自分の性格に合っていると感じています。長く働ける会社を探しているので、ぜひ御社で働きたいです。」

観点良い例悪い例
会社理解「業務が専門性に応じて分担され、精度や深い理解が求められる」と、実際の部門構造に触れている「安定していると聞いて」「安心して働ける」など、根拠が薄く表面的
自己PRの根拠「大量データを正確かつ効率的に処理してきた」など、具体的な経験・実績を提示「コツコツ取り組む性格」など抽象的で実績が見えない
企業への貢献姿勢「未経験でも早期にキャッチアップし、専門性の高い環境で貢献」と即戦力性を強調「長く働ける会社を探している」など自分の希望が中心で、貢献イメージが薄い
説得力行動 → 強み → 応用可能性 という論理的な流れで伝えている「頑張る」「性格に合っている」と自己評価に依存し、説得力が弱い
印象能動的・前向きで「この人なら任せられる」と感じさせる受け身・安定志向が前面に出て「ただ長く勤めたい人」に見えてしまう

STEP3:「企業の強み」と「自分の強み」の重なりはどこか?

企業の強みや文化と、自分の性格・価値観・スキルがどう重なるかを伝えましょう。

たとえば「スピード感を重視する文化」に対して「自分も過去に素早くPDCAを回す環境で成果を出してきた」「調整業務が多い御社の経理体制において、私の調整力が活きると考えた」など。

“御社だからこそ、私が力を発揮できる”というメッセージに仕上げるのがポイントです。

これまで私は法人営業として、裁量の大きな環境の中で売上〇〇万円といった実績を積み上げてまいりました。特に注力してきたのは、安定的な成果を出すために「担当クライアントの業界ポートフォリオ」を自ら設計し、運用してきたことです。

業界ポートフォリオの作成にあたっては、業界ごとの収益構造を分析し、法改正や制度改正の動きを常にキャッチアップしています。その上で、次の受注タイミングを見極めながら、定期的に顧客とのコミュニケーションを重ねました。
営業活動では断られることも少なくありませんが、こうした取り組みから「〇〇さんは有益な情報をいつも提供してくれる」と評価いただき、グループ会社をご紹介いただくなど信頼関係を築くことができました。

このように「全体を俯瞰して戦略を描き、成果に結びつける」までを自走できることが、私の強みです。

今回の募集ポジションでは、分業ではなく幅広い領域を一貫して担うことが求められていると理解しております。私自身、任された業務を遂行するだけでなく、全体を俯瞰しながら自分の役割を果たし、将来的には他の領域にも積極的に関わっていけるよう努めたい考えです。
また、これまでの営業職で培った経験を活かし、御社の経理業務においては、経営者や事業部門といった“クライアント”の視点を常に意識したコミュニケーションを行うことで、より実務に即した貢献ができると考えております。

これまで私は法人営業として働いてきました。営業活動では色々な工夫をしてきましたが、その中で業界の分析をしたり、クライアントとやり取りをしたりして、成果を出してきたと思います。お客様から感謝の言葉をいただくこともありました。

私は全体を見て自身のできる事を判断する力があると考えております。今回のポジションでも幅広いことを担当するのではないかと思い、その中で自分の経験を活かせると感じています。経理は経営者や事業部門の役に立つ仕事だと思うので、私も力を発揮できればと考えています。

観点良い例悪い例
実績の明確さ売上〇〇万円、業界ポートフォリオ設計など 具体的な成果 を数字・事実で示している「成果を出してきたと思います」など 曖昧な表現 にとどまり、数字がない
取り組みの具体性業界分析、法改正のキャッチアップ、受注タイミングの図り方など 行動のプロセス を説明している「色々な工夫」「クライアントとやり取り」など ぼんやりした表現
信頼関係の証拠クライアントからの評価やグループ会社紹介など 客観的な裏付け がある「感謝の言葉をいただくこともあった」など 根拠が弱い
強みの言語化「全体を俯瞰して戦略を描き、成果に結びつける」と 明確に定義 している「判断する力がある」と 抽象的 で汎用的
応募先との接続経理業務においても「経営者・事業部門の視点で貢献する」と 役割理解が深い「経理は役に立つ仕事だと思う」など 理解が浅い

まとめ:経理は「調整力」「交渉力」が問われる仕事。未経験だからこそ「志望動機」で差をつけよう!

経理職は、単なる事務作業や数字合わせだけでなく、他部署との連携や社内調整など、人との関わりが非常に多い仕事です。

「未経験だから無理かも…」と思う必要はありませんが、未経験だからこそ、実務への理解と準備が問われるのも事実。

志望動機では、「なぜ経理をやりたいのか」「自分の強みがどう活かせるのか」「実務経験者と差別化できるポイントはどこか?」「なぜその会社なのか」をしっかり言語化して伝えましょう。

【未経験経理】志望動機に必要な5つの視点
  • なぜ、未経験から経理に挑戦しようと考えたのか?
  • 経理の実務をどのように理解しているか
  • 経理の仕事を継続できそうか?(適性や覚悟はあるか?)
  • なぜ他社ではなく、当社を選んだのか?
  • 志望動機の中に、経理職に必要な素養が感じられるか

今回紹介した6つのステップを参考に、あなたらしい志望動機を作って、ぜひ前向きに挑戦してくださいね!

ABOUT ME
著者|元転職エージェント・えみりー
著者|元転職エージェント・えみりー
未経験・無資格から経理職へ! 元転職エージェントの視点で、求人票の読み解き方や「ここだけの話」、面接・書類対策を発信しています。

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